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皮膚科医がオーガニックや無添加化粧品を勧めない理由とは?

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DERMATOLOGY

出産後、肌がカサついたり、かゆみが出たりして、それまで使っていた化粧品がどうも合わなくなって、かなりストレスだったな?。
1年くらいで落ち着くとは言われても、美容ライターなのに、肌ガッサガサってまずいし。
そんなときに、できるだけ刺激の少ないものの方が良いと思って、いくつかオーガニックや無添加の化粧品を使ってみたんだけど、お肌の状態は良くならなかったのよね。
もう化粧品ジプシーで、つらかったな。

わたしも、前にね、めちゃめちゃ忙しかったときに、肌荒れがひどくなって、こんなときはやっぱり低刺激のコスメのほうが良いのかなって思って、無添加ってどうかなって、友だちの皮膚科医に相談したのよ。
そしたら、「まだ無添加神話、信じてるんだ」って、ちょっとあきれられちゃった。
まだまだ「ケミカルなものは肌によくない」とか「ナチュラルなもののほうが肌にやさしい」信仰って、根強くあるよね。

そもそも無添加って何が無添加なのでしょうか?

香織サムネイル

香織です。
産後の肌荒れ、つらかったです…。
今まで愛用していた、頼っていたコスメが合わなくなったり、いろいろ変えてみてもお肌の状態は良くならないし。

こんなときは、きっと自然の恵みが、わたしの疲れた身体とお肌を癒やしてくれるに違いないと思って、オーガニックコスメ、いろいろ試してみました。
そして、出産で身体はきっと敏感になっているのだから、なるべくケミカルなものは避けて、刺激になりそうな成分が入っていない無添加コスメのほうが、今のわたしには合っているはず… と、「無添加」といわれているコスメも使ってみました。

お肌の悩みで暗い顔の女性

残念ながら、オーガニックだから、無添加だから、お肌の状態が良くなるということはありませんでした。

そして、なつきちゃんの言うように、オーガニックや無添加を勧める皮膚科医の先生って、あんまりいないんです。
その理由のひとつは、定義があいまいってことです。

『無添加化粧品』って、いっぱい見かけますよね。
何が『無添加』なら、『無添加化粧品』って呼べるのか、知っていますか?

実は、別に定義なんてないんです。
いえ、あったとはいえるかもしれませんが、現状はあってないようなものなんです。

かつては、化粧品には「表示指定成分」といって、アレルギーなどの皮膚トラブルを起こす恐れのある成分が決められていました。
102種類の原料に香料を加えた合計103種類が、1980(昭和55)年に厚生省(現厚生労働省)によって告示されて、これらの成分を化粧品に配合するときは、容器や包装に明記することが義務づけられていたんです。
(2001年4月1日から、厚生労働省の薬事法の改正とともに、化粧品の全成分表示が義務づけられるようになりました。)

はっきりとした定義はありませんが、一般的には、この表示指定成分が入っていないものを『無添加と呼んでいたことが多いようです。
今はお肌に良かろうが悪かろうが、配合成分は全部表記しなければならないわけですから、『無添加』という表現も、指定成分を表記していた頃のなごりのようなものと言えます。

化粧品の添加物、パラベン

表示指定成分が決められたのは、もう30年以上前で、すでに廃止されています。
(このため、現在では『旧表示指定成分』と呼ばれています。)
この間、安全性が高まった成分があったり、逆に、新しい成分もどんどん開発されていて、中には安全性がまだ不確実なものもあったりで、表示指定成分ってほとんど意味がなくなっています。

それに、たとえ指定成分が入っていなくても、それ以外の防腐剤や着色料などは使われている可能性もあります。(けっこう大きな割合で)
なので、旧表示指定成分が入っていないから、皮膚トラブルが起こらない、アレルギーが起こらない なんて、単純には言えない状況です。

『無添加』だから、安全なわけではないんです。

定義はありませんから、何を『無添加』にするかは、もちろん化粧品会社が自由に決められます。
防腐剤無添加でも『無添加』だし、着色料無添加でも『無添加』です。
ものすご~くあいまいなんです。

でも、『無添加』って書いてあると、なんだか安心しちゃうところがあるわたしたちの心理、読まれてます。
だから、なつきちゃんもお友だちの皮膚科の先生に、無添加だから低刺激かもしれないなんていう単純な思い込みを、ちょっとあきれられたりしたんです。

オーガニック=お肌に優しいという大きな誤解があります。

無添加化粧品にもいろいろあるし、必ずしも安全とは限らないとして、じゃあオーガニックコスメはどうなの?

ここで、また『オーガニック』って何? という話になりますよね。

「天然100%のオーガニックコスメ」をうたっているHANAオーガニックによる定義は、こうです。

化粧品は大きく分けると、2つの分類があり、1つが石油由来成分を排除した「オーガニックコスメ」。 そしてもう1つが石油由来原料を中心とした化学合成成分を用いた「化学化粧品」になります。

これは、ちょっと一般的に考えられているオーガニックコスメの定義とは違っていると思います。
オーガニック=有機 ですから、「化学肥料を使わず、遺伝子操作をしない農法である有機栽培でつくられた植物を原料にした化粧品」という考え方のほうが一般的でしょう。
石油由来成分を排除しているから、オーガニックというのは独特の解釈だと思います。

オーガニックコスメ

このように、オーガニックコスメというのも、かなりあいまいです。

なつきちゃんのお友だちの皮膚科の先生にお話しを聞いたところ、手や顔がかぶれたという患者さんが来院したときに、まず最初に疑う原因は『植物」なんだそうです。
草木かぶれというそうですが、野山に自生する植物だけでなく、ガーデニングで草花にかぶれちゃう人もかなり多いとのことです。
それくらい、植物はかぶれを起こしやすいし、それはオーガニック(有機)で育った植物であっても同じことです。
事実、オーガニックコスメでかぶれたという患者さんは増えているそうです。

また、有用な植物成分であっても、刺激の強いものもあるし、特に精油(エッセンシャルオイル)は、アレルギーのリスクも高いと言われています。
植物から直接抽出する成分には、美容成分だけでなくさまざまな不純物が混ざっていることもあって、その中には肌に害となってしまう成分も多くあります。

顔にかゆみのある女性

できるかぎりそういう成分を取り除く処理をしたとしても、完全になくすのは難しいし、もし配合量が多すぎたり体質に合わないものが入っていたりすれば、刺激やアレルギーの原因になる場合もあるのです。
だから、こういう観点から見れば、植物由来成分よりも、化学合成などですべて人工的に作ったもの(一般的に「ケミカル」と言われる)のほうが、害となる成分も混ざることがなく、かえって安全だし、肌への負担は小さいとも言えるのです。

無添加、自然派、オーガニックが好きなタイプの人=界面活性剤嫌い と言っても過言ではないと思いますが、原料がオーガニックの天然成分(コーン、ヤシ、エゴノキ、オリーブオイル等)から合成された、かなり強力な合成界面活性剤が使われていることもあります。
これだって、原料がオーガニックであれば、天然由来100%のオーガニックコスメとして認められます。

どうですか、オーガニックコスメ、けっこう微妙ですよね…。
多くの皮膚科医が、オーガニックコスメを積極的には勧めないのも納得です。

大事なお肌です。なんとなくのイメージでコスメを選ぶのはやめましょう。

わたしたちのサイトでは、今までオーガニックコスメではHANAオーガニック、無添加化粧品ではファンケルを取り上げてきました。
どちらも、なぜオーガニックなのか、なぜ無添加なのかという理由と基準を、それぞれ「10の約束」や「5つの証し」として、明確に提示しています。

たとえば、ファンケルは

ファンケルの「無添加」は、防腐剤・香料・合成色素・石油系界面活性剤・紫外線吸収剤を一切使っていません。

防腐剤を使っていないということは、早く使いきらなくてはなりません。
化粧品は、食品ではないから腐らないなんて思っていませんか?
もともとお肌に栄養を与える良い成分が入っていれば、例えばヒアルロン酸やコラーゲンなんて、雑菌にとってはごちそうで、微生物は繁殖しやすく、腐りやすくなります。

(でも、ファンケルの使用期限、一般的な化粧品よりは短いですが、「開けなければ1年は大丈夫、開けても60日は大丈夫」です。
「防腐剤」には分類されないけど、防腐効果・抗菌効果がある成分が、「保湿剤」という名前で配合されていますから。)


また、HANAオーガニックは

HANAオーガニックのスキンケアは植物原材料のうち95%以上を世界的な認証基準に基づくオーガニック栽培した植物を用いています。
生命力溢れるオーガニック栽培植物は抗酸化作用、活性作用が高く、通常栽培の植物成分に比べて160%以上の効果があるという報告もあります。

オーガニックでつくられた植物は活性が増すので、そこから抽出された成分もパワフルなわけです。
自然由来だからマイルドなイメージもありますが、実際には効きが良く、肌の弱い人が使うと負けてしまう可能性がある「攻めコスメ」なんです。

オーガニック使いたくなるときって、お肌にトラブルが出ていたり、「敏感肌」になっているときが多いと思います。
そんなときこそ、刺激になる可能性が高いオーガニックを使うのは慎重に考えたほうがよいということです。

そもそもすべての人が絶対にアレルギーを起こさないと保証できる物質はありませんし、旧表示指定成分も誰にとっても危険な物質というわけでもありません。
「ケミカルなものは肌によくない」とか、「ナチュラルなもののほうが肌にやさしい」というような一面的な判断や、「自然」だの「天然」だのという言葉だけで、安全、マイルド、優しい とイメージしてしまうような思い込みは止めましょう。

大事なお肌です。
そして、わたしたちには、もうのんびりしている時間がありません。
だったら、なんとなく良さそう?ではなく、ヘンなリスクはとらないで、ちゃんと必要なポイントを押さえて、効果の出るコスメ選びをしませんか。


  • 無添加化粧品とは、アレルギーなどの皮膚トラブルを起こす可能性があるとされた旧表示指定成分が入っていないものを指すことが多かったが、
    もともと定義があったわけではなく、何が無添加なのかはメーカーの判断で決められています。
  • 指定成分無添加だから安全なわけではなく、それ以外の防腐剤や着色料などは使われている可能性がかなりあります。
  • オーガニックコスメとは、一般的には化学肥料を使わず、遺伝子操作をしない農法である有機栽培でつくられた植物を原料にした化粧品ですが、無添加同様、明確な定義はありません。
  • 植物が皮膚のかぶれの原因となることは非常に多く、オーガニック栽培だから、刺激がない、かぶれないわけではありません。かえって、活性が増しているので、刺激が強く、肌が負けてしまうケースもあります。

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