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あなたの使っているコスメはちゃんとお肌に浸透していますか?

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わたしの主婦友だちに、けっこう手作りコスメ派いるのよ?。
化粧品は全成分表示されてるから、調べれば何が入っているのかわかるし、そのなかで自分に必要な成分を選べばいいから、効率的だし、とにかく原料が安い!自分でつくるから何が入っているかわかって安心だし、高い化粧品なんてバカバカしくって買えないって。わかる気もするんだけど …。でも、本人には言えないけど、そんなにお肌きれいじゃなかったりするのよね。ホントのとこ、どうなんだろう?


『皮膚のバリア機能』って聞いたことあるでしょ。なかなかすごいのよ。もともと皮膚は外部からの異物の侵入からからだを守る働きをしているわけだから、そんなに簡単に突破できてしまったら困るわよね。お肌に良い成分はもちろんたくさんあるけど、どうやって必要なところに届かせるかが、高機能コスメのテクノロジーのすごいところなんだけどな?。

成分が『浸透する』とか『吸収される』って、そもそもどういうこと?

m0342-9239-14050008なつきです。
香織ちゃんのお友だちみたいに、手作りコスメにはまっている人、けっこう多いみたいですね。でも、わたしたち2人は、残念ながらその効果は疑問視しています。

それは、どんなにすばらしい成分でも混ぜただけでは効かないことがわかっているからです。効かないって断言しちゃうのは乱暴なら、効果的には届きにくいと、おだやかに言い換えてみましょうか。

成分が『浸透する』とか『吸収される』って、実際どういうことなのか考えたことありますか?

ここで、皮膚の構造を思い出してみましょう。上から、表皮・真皮・皮下組織 とあって、さらに表皮の一番上が角層でしたよね。

『経皮吸収』という言葉を聞いたことがあると思うのですが、これは皮膚の血管に成分が移行して血中を流れて、全身を流れていくことを指しています。皮膚の構造上、血管があるのは真皮より下の組織なのですが、お肌を良くするための成分であれば、表皮や真皮にとどまって効いてくれれば良いわけで、血液中に吸収される必要はありませんよね。

角質ってラップくらいの厚さしかないのに、外側から異物が体内に侵入しないように守るバリア機能を持っています。もともと皮膚からは、そう簡単にはなんでも吸収しないようにできているのです。

とすると、コスメに必要なのは、『肌になじむ』= 肌の一番外側にある角層に留まって効果を発揮すること、『肌に浸透する』= 角層の下にある表皮や真皮に届くこと になります。

  • 皮膚にはバリア機能があって、体外からの異物の侵入を防いでくれています。
  • 成分が『浸透する』という意味は、一番外側の角層の下にある表皮や真皮に届くということです。

ではどうやって有効成分は浸透するのでしょうか?

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表皮の電子顕微鏡写真

改めて皮膚の構造を考えてみると、皮膚には毛の生えている「毛孔」や汗の出る「汗孔」があります。
ここからだったらバリア機能のある角層を通らなくても、直接真皮に到達できるので、効率よさそうです。しかし、毛孔や汗孔の面積というのは、角層の面積と比べるとものすごく小さくて、皮膚の0.1%にすぎません。ということで、成分が浸透するときには、基本的には角層を通過するということになります。

さて、復習です。
角層というのは、「角質細胞」の間をセラミドを主成分とする「角質細胞間脂質」がセメントのように埋めていて、バリア機能を発揮しているんでしたよね。そして、細胞間脂質は水をはさみこんでいて、脂質層と水層がサンドイッチ状に交互に重なっていましたよね。(ちなみに、こういうのをラメラ構造といいます。)

有効成分は主にこの細胞間を経由して浸透していくと考えられています。
ビタミンに「水溶性」と「脂溶性」があるって聞いたことがあると思うのですが、物質には水に溶けやすいものと、油に溶けやすいものがあります。コスメの有効成分にも、水溶性のものと脂溶性のものがあって、水溶性は主に水層を経由して、脂溶性は脂質層を経由して、角質層を通過していくわけです。

皮膚には水溶性の成分より脂溶性の成分のほうが浸透しやすいのですが、これはなぜかというと、皮膚は皮脂膜で覆われているので、皮脂になじみやすいということと、角層全体で見ると脂溶性が高いからです。

  • 水溶性成分は角質細胞間の水層を、脂溶性成分は脂質層を経由して、角層を通過します。
  • 皮膚は皮脂膜で覆われており、角層は脂溶性が高いので、脂溶性成分の方が浸透しやすいと考えられています。

分子量が小さくないと肌には浸透しません

microbiology-163470_640 (1)これはコラーゲンのところでも書いたのですが、復習しますね。

Q:コラーゲンはなぜ塗っても浸透しないんでしょうか?
A:「分子量」が大きいからです。

そうでしたよね。
コラーゲンは分子量が大きいので、皮膚には浸透しないんです。
「分子量 500」が一つの目安になる(500 ダルトンルール)といわれていて、それ以上の大きさになると浸透力が落ちるということが実験で確認されています。

いわゆる「動物性コラーゲン」の分子量は30~40万ダルトン、
最近開発された「超低分子コラーゲン」がやっと500?1000ダルトン。
ヒアルロン酸は100~200万ダルトン。
ちなみにニコチンは160ダルトン、女性ホルモンの「エストラジオール」や男性ホルモンの「テストステロン」は約280ダルトンだそうです。

ただしビタミンCは200ダルトンと分子量は小さいのですが、水溶性なので、そのままでは浸透しにくい成分だったりします。

このように、ただ分子量が小さければ良いというわけではなくて、脂溶性であることも大事です。

  • 物質が無理なく皮膚に浸透するには脂溶性であり、なおかつ分子量が500ダルトン(分子量を表す単位)以下であることが必要です

『リポソーム』って聞いたことありますか?

リポソーム』って、どっかで聞いたことあるような… という人も多いかもしれません。
何か成分の一種っぽいですよね。

一番有名なのは、そのままズバリのコスメデコルテ『モイスチュアリポソーム』でしょうか。発売以来なんと20年!@cosmeあたりでは『モイリポ』と呼ばれて、かなり支持者の多い殿堂入りコスメですね。

でも、リポソームはよく効く成分の名前ではありません。

細胞は、ひとつひとつ細胞膜という1枚の膜で包まれていて、この膜を通して必要な酸素や栄養を細胞内部に取り入れて、不要な老廃物を外に出しています。
リポソームとは、この細胞膜に似た構造を人工的に再現したマイクロカプセルで、表皮細胞と同じ『リン脂質』でつくられています。

300px-リン脂質二重層膜の基本構造(byパタ)pic_liposome1
(Wikipedia – 脂質二重層 より)      (リポソームの構造 – コーセー研究所 より)

細胞膜と同じ素材、構造でできているということは… 皮膚の細胞に到達したときに、細胞膜とよくなじむのです。しかも、リン脂質は油分となじむ性質(図の疎水部)、水分となじむ性質(親水部)の2分子からできている膜で、リポソームはその2つの分子が向かい合うように並びながら、玉ねぎのようにぐるぐると渦を巻いている構造をとっています。
で、すごいことに、油分となじむ性質の部分に脂溶性の有効成分を、水分となじむ性質の部分に水溶性の有効成分を閉じ込めることができるのです。

リポソームの大きさは0.1-0.2μm(マイクロメートル)、1ミリの10000分の1 という、もうなんだかわけのわからない小ささです。美容液1プッシュに、40兆個!と、コスメデコルテのホームページに書いてあるくらいです。
その多重層になったカプセルが角層の奥まで届いて、少しずつ玉ねぎの皮がむけるように壊れていくので、スローリリースともいうのですが、時間差で有効成分が必要な箇所で放出されるという、浸透力あり、持続性ありのすごいテクノロジーです。

リポソームの原料は大豆や卵黄から抽出したレシチンというリン脂質です。大豆や卵黄が原料というと、なんだか安価なもののようですが。実際にはコスメの原料としてはかなり高価な物質です。また、特有のにおいがあるのが欠点です。

そこで、よりコストダウンを図り、天然原料ならではの熱や酸化に対する不安定さを解消するような非リン脂質のリポソームの開発も進んでいます。たとえば、この非リン脂質リポソームのなかで代表的なのが、ビーグレンで使われているQuSome(キューソーム)です。

  • 細胞膜と似た構造をもつ『リポソーム』は、脂溶性・水溶性両方の有効成分を閉じ込めることのできる玉ねぎ状のマイクロカプセルです。
  • リポソームは、皮膚への浸透力が優れ、時間の経過とともに有効成分を放出できます。
  • リポソームの原料であるレシチン(リン脂質)は大変高価で、天然ならではの欠点もあるので、コスト的に優れて、物質的に安定している非リン脂質リポソームの開発も進んでいます。

コスメに重要なのは、いかに効果的な成分を効果的に浸透させるかということだと、わたしたちは考えています。なので、コスメ選びにも、きちんと浸透させる技術があるかを重視して、チェックポイントにしています。

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シワ・たるみとりコスメを選ぶときには、必ずおさえておくべき4つのポイントがあります。わたしたちが美容皮膚科の先生や、化粧品開発担当者に取材したり、各種の研究結果も手分けして調べた結果、皮膚科学的に絶対に間違いないポイントなので、チェックしてみてくださいね。

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